2022年9月7日 ドイツ・シュトゥットガルト
- マーレは、ドイツ・ハノーバーで開催されるIAAで、商用車向けのカーボンニュートラルに対応するパワートレイン技術を発表
- 世界初公開:特に高い連続出力を実現するSCT電気モーター
- バッテリー駆動、燃料電池、水素エンジンのためのシステムソリューションの実現
- モジュール式の熱マネージメントで効率とコストメリットを提供
- マーレの充電インフラ「ChargeBIG」がIAA内で体験可能
マーレは商用車市場における駆動方式の多様化が大幅に進むと予測しており、2035年までに全世界の商用車の約30%がバッテリーまたは燃料電池を搭載した純電気自動車になると考えています。ドイツ・ハノーバーで開催されるIAA(会期:2022年9月20日から25日)で、マーレはあらゆるタイプの動力に対応する技術を紹介します。極めて高い連続出力を実現し、特に商用車に最適な新型SCT電気モーター(Superior Continuous Torque)をマーレは世界初公開します。また、バッテリー駆動、燃料電池、水素を燃料とするクリーンな内燃機関のための最新のシステムソリューションや、より高い効率性と明確なコストメリットを実現するモジュール式熱マネージメントシステムをマーレブース内にて紹介します。IAAのマーレブースはホール12、スタンドC37です。
「私たちはお客様と市場を現実的かつ技術的に中立な立場で捉え、運輸部門に必要な気候保護へ貢献します。そのため、バッテリー電気駆動と燃料電池、高効率でクリーンな内燃エンジンの3つの分野に開発活動を集中させています。」マーレCFOのミヒャエル・フリックはこのようにコメントしています。商用車部門はマーレにとって重要な事業分野であり、グループ全体の売上高の約20%を占めています。マーレのお客様には、世界の大手自動車メーカーがすべて含まれています。
世界初公開:SCT (Superior Continuous Torque)電気モーター
新しいSCT電気モーターは、多くの電気モーターに共通するジレンマである連続出力と最大出力の大きな差を解決します。従来の電気モーターはピークパワーを短時間しか発揮できず、その後60~70%程度に低下しますが、マーレのSCT電気モーターはピークパワーの90%以上で連続運転することが可能です。つまり、いつまでも高出力で運転することができ、さらに同じ連続出力を持つ従来の電気モーターよりも大幅に小型・軽量化されています。このため、大型商用車を含むすべての車両クラスでの使用に適しています。マーレは革新的な一体型油冷システムを採用することで、SCT電気モーターのパフォーマンスに必要な技術を可能にしました。この新しい電気モーターの導入により、マーレは電気駆動装置の分野でフルレンジのサプライヤーとなりました。電動アシスト自転車や e スクーターから乗用車や配送車、大型商用車、オフロード車、産業用まで、マーレは車輪で走るものすべての電動化を実現します。
マーレは電気商用車のためのシステムプロバイダー
マーレはIAAにて電気商用車においてマーレのシステムがどのように作用するのかを初めて紹介します。その焦点は全体的な駆動システムと熱マネージメントシステムに置かれています。マーレの研究・先端技術部門長であるマーティン・ベルガー博士は、「私たちは、航続距離、性能、急速充電能力、運転席での快適性など、電気自動車開発においてお客様にとって特に重要な課題に取り組んでいます」と述べています。マーレは他の追随を許さない幅広いポートフォリオにより、個々のコンポーネントやサブシステムを円滑にコーディネートすることができ、特にバッテリー駆動の場合にも効率的な総合システムを実現できます。
マーレは燃料電池の周辺機器で幅広い専門知識を提供
マーレは従来から、エアマネージメント、フィルタリング、熱マネージメント、エレクトロニクスの分野で強い専門性を持っており、その知識を最新の燃料電池技術に活かしています。マーレのエアフィルターは、自動車の耐用年数全体を通じて、粒子や有害ガスから燃料電池を確実に保護します。モジュラーコンセプトにより、アプリケーションはシンプルで費用対効果に優れています。燃料電池が最適に作動するためには、湿度の高い空気が必要ですが、マーレのフラットメンブレンヒューミディファイヤーはこれを可能とします。ヒューミディファイヤーは効率を高め、セルを乾燥から守ります。また、信頼性の高い加湿は、効率レベルを維持するために非常に重要であり、これらの高価なコンポーネントの長寿命化に貢献します。ドイツの連邦経済エネルギー省(BMWK)の後援を受け、マーレは他のパートナーと共同でフラットメンブレンヒューミディファイヤーを開発しました。燃料電池から供給される電圧をあらゆる負荷範囲で安定化させるために、マーレは高電圧DC/DCコンバーターを開発しました。最大180kWの高出力をカバーし、97%以上の効率を達成し、非常に高い電力密度を実現します。このようにマーレは高度な熱マネージメントとともに、燃料電池の周辺機器に不可欠なシステムを構築しています。
高効率な水素エンジン向け新部品を開発
燃料電池に加えて、水素を燃焼燃料として使用することで、多くの大型車やオフハイウェイ仕様車を気候中立に素早く対応させることができます。水素エンジンは、急激な負荷変動がある高負荷サイクルに最適で、熱、汚染、振動によく対応します。マーレの100年以上にわたる経験が、必要なエンジン部品の開発に活かされています。ピストン、ピストンリング、コンロッド、ピン、そして必要に応じてシリンダライナー、さらにクランクケースを洗浄するための高圧インパクターで構成される新しいパワーセルユニットがIAAにて初公開されます。これは、寿命の長い内燃機関において、水素を高効率かつ安全に利用できるということです。
商用車向け理想的な熱マネージメントシステム構築
熱マネージメント(車両の加熱と冷却)は、効率的なCO2ニュートラルな駆動開発において特に重要です。バッテリー駆動や燃料電池システムでは、熱マネージメントの複雑さが増し、性能への要求が著しく高まります。「商用車の動力がますます多様化する中、それぞれに対応する適切なソリューションをお客様に提供することが私たちの課題です」と、サーマルマネージメントビジネスユニットのグローバル開発責任者であるロジャー・ブッシュ博士は述べています。「私たちは輸送業界が敏感なコストにも目を向けなければなりません。」マーレがIAAで展示しているシステムのモジュール構造は理想的なシステムアーキテクチャーであり、あらゆる用途、あらゆる車両に対して開発することができます。それにより、商用車セクターの膨大な数の個々の運転プロファイルと車両クラスを、高効率かつ最適なコストでカバーすることができます。システムの中核となるのは、クーリングモジュール、エアコン、高圧ヒーター、電動コンプレッサー、バッテリー、電子冷却システム、冷却水ポンプ、電気モーターの温度制御用オイルマネージメントモジュールです。
MAHLE chargeBIGがIAAテスト車両を充電
IAA会場のホール11、スタンドPP40の「Test Drives and Plug & Play Campus」で、マーレはChargeBIG充電インフラソリューションを展示しています。ChargeBIGは、「できるだけ早くではなく、必要なだけ早く充電する」ことを目標に、18台から100台以上の電化駐車場まで、輸送会社やその他の分野に向けた拡張性と費用対効果の高い充電インフラを提供します。展示されている充電インフラは電気に接続されており、有名な自動車メーカーがIAA開催中の日中または夜間に試乗車を充電するために使用しています。テストドライバーは、ChargeBIG充電インフラで充電プロセスを体験することができます。
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